選手特集・沢村賞

髙橋遥人が沢村賞 16勝・4完封、過去の受賞者3人と比較

髙橋遥人の2026年を象徴するのは、16勝という勝ち星だけではない。23試合に登板し、4度は相手に1点も与えず、一人で最後まで投げ切った。10月26日、阪神の左腕が沢村賞を初受賞。最多勝と最高勝率の2冠に、リーグ最多の完封を重ねたシーズンは、過去の受賞者と比べるとどんな特徴を持つのか。伊藤大海、山本由伸、菅野智之の受賞年を振り返る。

この記事の内容
  1. 16勝だけではない、リーグ最多の4完封
  2. 過去3人の受賞年と比べる
  3. 山本由伸と同じ23登板・16勝、違いは防御率と完封
  4. 伊藤大海、菅野智之との違いは投球回
  5. 159回の中に残した、4度の完封

16勝だけではない、リーグ最多の4完封

髙橋は16勝3敗、勝率.842でシーズンを終えた。セ・リーグでは勝利数と勝率に加え、5完投、4完封も最多。勝ち星を積み上げながら、救援投手につながずに勝ち切る試合も作った。とりわけ、5度の完投のうち4度が完封だったことは、この一年の際立った成果だ。

一方、防御率1.87はリーグ1位ではない。最優秀防御率は、同じ阪神の村上頌樹が記録した1.85だった。髙橋の受賞年をあらゆる部門で首位に立ったシーズンとして語ると、実像から離れてしまう。低い防御率を保ちつつ、勝利、完投、完封でリーグを引っ張ったところに、2026年の髙橋らしさがある。

過去3人の受賞年と比べる

比較するのは、前年の受賞者である2025年の伊藤大海、髙橋と同じ23登板・16勝だった2023年の山本由伸、202回を投げて10完投を記録した2018年の菅野智之。いずれも沢村賞を受賞した年の一軍公式戦成績だ。

リーグや年度が異なるため、これは歴代の優劣を決める順位表ではない。3人を比較対象に、髙橋がどこで近い実績を残し、どこに違いがあったのかを見ていく。以下の比較・評価は編集部の見解であり、選考委員会の受賞理由を示すものではない。

過去3人の受賞年と比べる
受賞年・投手登板勝敗防御率投球回完投完封
2026 髙橋遥人(阪神)2316勝3敗1.8715954
2025 伊藤大海(日本ハム)2714勝8敗2.52196回2/361
2023 山本由伸(オリックス)2316勝6敗1.2116421
2018 菅野智之(巨人)2815勝8敗2.14202108

山本由伸と同じ23登板・16勝、違いは防御率と完封

髙橋と山本は、ともに23登板で16勝。ただし、山本の2023年は防御率1.21、164回で、髙橋より5回多く投げていた。登板数と勝利数が同じでも、防御率では山本の成績が上回る。

髙橋が上回ったのは完投と完封だ。山本の2完投・1完封に対し、髙橋は5完投・4完封。シーズン全体の防御率と、一試合を最後まで無失点で投げ切った回数では、比較の結果が入れ替わる。山本と同じ勝ち星に届いたうえで、完封という形の勝利をより多く残した。それが髙橋の受賞年を語る際の一つの特徴になる。

もっとも、完投や完封の回数には起用法や試合展開も関わる。この差だけをもって投手としての総合的な優劣を決めることはできない。

伊藤大海、菅野智之との違いは投球回

前年の伊藤は27登板で196回2/3。髙橋より4試合多く登板し、37回2/3多く投げている。6完投も髙橋を一つ上回った。その一方で、髙橋は勝利数、防御率、完封数で伊藤の受賞年を上回っている。伊藤の大きな投球量に対し、髙橋は登板数が少ない中で16勝と4完封を記録した。

菅野の2018年は、さらに投球量が多い。28登板で202回、10完投、8完封。髙橋の倍の完投と完封を残しており、一人で試合を投げ切った実績では、この比較の中でも際立つ。髙橋の4完封を評価しつつ、過去にはそれを上回るシーズンもあったことを押さえておきたい。

159回の中に残した、4度の完封

髙橋の159回は、今回取り上げた過去3人の受賞年より少ない。それでも16勝を挙げ、5度の完投のうち4度は無失点で試合を終えた。投球量を重ねることとは別に、完封という成果をシーズンに複数回残した点が目を引く。

編集部がこの受賞年で注目するのは、最多勝の16勝に、リーグ最多の4完封が並んでいることだ。投球回では伊藤や菅野に届かず、防御率では山本の受賞年に及ばない。その違いも含めて見ることで、髙橋が残した実績はよりはっきりする。それぞれの受賞年に異なる強みがある中で、髙橋は勝ち星と完封の両方で存在感を残した。

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